【完】君に惚れた僕の負け。
空いた手の指先があたしの頬を伝う。
感覚にあおられるようにあたしの顔はどんどん熱く……。
「……気持ちいいくらい赤くなるよね」
「仕方ないじゃん……」
「今日一緒に帰ってたやつに手つながれても赤くなってた」
「そうだった?」
一度頷いた彼は、冷たく言った。
「……そういうとこ、嫌い」
かちゃ、金属のこすれる音がして、手錠でつながれた手と手がぎゅっと掴まれた。
そのまま、ソファに押し倒されて。
「え……」
目にかかりそうな黒髪が、窓からの日差しに煌めく。
茶色い目に吸い込まれそう。