【完】君に惚れた僕の負け。

空いた手の指先があたしの頬を伝う。



感覚にあおられるようにあたしの顔はどんどん熱く……。



「……気持ちいいくらい赤くなるよね」



「仕方ないじゃん……」



「今日一緒に帰ってたやつに手つながれても赤くなってた」



「そうだった?」



一度頷いた彼は、冷たく言った。



「……そういうとこ、嫌い」




かちゃ、金属のこすれる音がして、手錠でつながれた手と手がぎゅっと掴まれた。



そのまま、ソファに押し倒されて。



「え……」




目にかかりそうな黒髪が、窓からの日差しに煌めく。



茶色い目に吸い込まれそう。


< 50 / 421 >

この作品をシェア

pagetop