【完】君に惚れた僕の負け。
1-4。
ここが朱里くんのクラス。
そーっと覗いてみると、すぐに目に入るほど朱里くんって他とは違うオーラが出ていて。
クラスのヒエラルキーのトップに自然とおさまっている。
周りにいる女子もきらきらしてるなぁ……。
ちょっとセットしただけの黒髪の下で控えめに咲く笑顔は、初夏の爽やかさによく似合う。
うん。朱里くんは、人生の勝ち組。
小さいころから顔の造形美のせいか、大人にたいする世渡りうまさのせいか、朱里くんって得しかしてない気がする。
そうやって過去を振り返りながら見つめていたら、パチンと目があった。
「あ」と口を開けた朱里くんに小さく手を振って「お弁当」と口パク。
朱里くんは友達に一言二言かわしてからあたしのところへ来てくれた。