【完】君に惚れた僕の負け。
朱里くんと二人きりになったマンションの一室、808号室。あたしんち。
パパとママが行っちゃったけどそんなに寂しくないのは、朱里くんがいてくれるから。
朱里くんの荷解きも済んでいて、準備万端。
今日から同居が始まる。
「ありがとう。朱里くん」
のんきに笑っていうと、視界いっぱいに彼の綺麗な顔が入り込んだ。
「……え」
あたしと同じ目線までかがんで覗き込む茶色い瞳に息を飲む。
「忘れてない?……『高くつく』って言ったよな?」
ひえ。
はい、なんでもします、と頷きながら視線だけを横にずらす。
ーーそう、こっちが、ホントウの朱里くん。
意地悪というか、俺様というか。
それでいて小悪魔な一面もあるという、最恐の男子。