【完】君に惚れた僕の負け。
「ねぇこれ……せっかく朱里くんに作ったのに、食べてくれないの?」
しゅんと、目を伏せて、悲しそうにつぶやく。
鈍感のくせに、なんで狙ったみたいにそういう可愛いこと素で言うの?
ああ怖い。
心臓バックバク言わされてて怖い。
恋々の腕をひきよせて、両手包んでいるカップケーキにかじりついた。
目と鼻の先に驚いたように目をひらく恋々の顔。
「おいしい」
「あ……。ほ、ほんと? よかった」
かぁっと赤くなる頬。これだけちょろいのに。
なんで俺を好きになんないの。