チョコレート記念日Ⅱ~ホワイトデー編~
「あ~!なんて良い子なの。紅葉くん!うちの弟とは大違いだよ。先輩、こんな優しい弟がいてうらやましいです」
紅葉の頭を撫でながら萌花ちゃんが呟く。
「萌花ちゃんも弟いるんだ?」
「はい、でも年も近いからか全然姉扱いされなくて…昔は私のことお姉ちゃんって呼んでくれてたんですけど、今では名前の呼び捨てですよ~。ほんとに可愛げないんです!」
弟のことを思い出したのか、少し膨れっ面で俺に話しかける。
その表情が可愛くて思わず表情が緩んでしまう。
紅葉に、「大切にするね!ありがとう」と、声をかけ、大事そうにバッグにしまう萌花ちゃんに向かって、
「これ、俺からも…ホワイトデー、なんだけど。迷惑じゃなければ受け取って」
俺はラッピングした包みを差し出した。