山窩村

いきなりの問い掛けに私は流れるように口から嘘を零した。その様子で勘づいたのか、守は不気味に笑った。


「ククク...大した所じゃなかったら覚悟しとけよ?莉音はこれから毎日勉強漬け....薫は毎日パセリ料理を振る舞ってやる...鉄平はワサビ丸かじりしてもらうぞ...」


「はぁ?なんで俺までとばっちり食らうんだよ....ってか、俺が一番地味に酷くねぇか?」



そんな会話を背中で聞いていると、莉音が私に近付いて耳打ちをした。


「ね、ねぇ薫...大丈夫かな?出たりするかな?私全く自信ないんだけど....」


「き、きっと大丈夫だよ...少なくともネットに取り上げられてるし、雰囲気はあると思う。私達があることない事言って怖がってれば大丈夫でしょ...」


私にとってのパセリ料理は正に地獄の料理。アレルギーという訳では無いが、あの苦さは慣れるどころか食べれば食べる程身体が受け付けなくなり、画像を見るだけで目を背けてしまうレベルだった。

私は山沢トンネルがとてつもなく怖いことを心の底から祈った。だが、心の端では山沢トンネルは大した所じゃないと確信に近い感覚を感じていた。


それから数分後、目的の山沢トンネルへ私達は着いた。そのトンネルの前に着いた時、私達はポカーンと口を開けてそのトンネルを見ていた。
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