山窩村


山道は思ったより狭く、両手を広げると周りの草木に当たってしまう程だった。正に獣道、石階段ではなく土が固まって出来た道を歩いているので探究心をくすぐられた。


「...妙だな....」


守が私と鉄平の前でボソリと呟き、鉄平がそれに反応した。


「ん?何がだ?」


「変だと思わねぇか?鳥居っていう人工物があんのに、この山道は明らかに獣道、何も人が手を施した形跡がない。鳥居の周り、鳥居自体にもこの先何があるのか書かれてすらない。
鳥居って神社とか何かがあってその入り口みたいなもんだろ?何かしらの示唆すらないってよ...おかしくないか?」


私はその言葉を聞いて先程まで見つめていた鳥居を思い出す。確かに守の言う通り鳥居には何も文字が記されていなかった。
あったのはなんて書かれているのか分からない御札と、近くにある地蔵だけ。


「確かにな....でもそんなに気にすることないんじゃないか?見た感じ凄く古そうだったし、何かの理由で鳥居の前にある表記が無くなったとかそんな感じじゃないか?」


鉄平がそう言うと、守は気難しそうな顔を作りながら先を歩いていく。確かに守の言うことも気になるが、鉄平の言う通りにそんなに気にすることではないと私は思った。


「皆!早く来てきて!凄いよ!」
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