山窩村

少し先を行っていた莉音が興奮気味に私達を手招きした。私達は歩くペースを少しあげて莉音の元へ急いだ。

莉音がいたのは山道の出口、古びた鉄の出入口のような所に立っており、まだ見えない向こう側を指さして興奮していた。

私達は莉音の横へ着くと、莉音が興奮していたものを見て目を見開いた。


山道の先にあったのは村だった。見渡した限りそこそこの広さがある村、私達のいる所は村を見渡せる少し高い場所にいた。

夕日を浴びている村、見た感じ人はいなさそうだが廃村ではなかった。農作物があり美しい川が流れていた。何軒もの昔のような木造りの家があり、荒らされている形跡は見た感じなかった。



この時の私たちは知らない。この後起きる出来事、待ち受ける運命を。
私達は既に囚われていた。まるで餌を取ろうとして捕まる動物のように、好奇心という餌に釣られて私達はこの地に足を踏み入れてしまった。
< 19 / 37 >

この作品をシェア

pagetop