山窩村

莉音が不思議がりながらそう言った。守は「考えすぎか?」とボソボソいいながら少し顔を和らげた。


「!おい、あそこにいるのってここに住んでる人達じゃね?」


鉄平は私達の目の前にある石階段の下あたりを指さした。長い石階段の先には何十人という人が集まっていた。遠くて顔がよく見えないが、こちらに視線を合わせてきていると感じる。


「多分そうだね。どうする?あの人達に少し声をかけてみる?」


「そうだな。あんなに人が集まるにも理由がある筈、俺達に何か言いたいんじゃねぇか?行こうぜ。帰れって言われたらすぐ帰ればいいし。」


鉄平は大きな手で守の背中をポンっと叩いた。守は眼鏡を指であげながら気が進まない感じであるが、コクリと頷いた。


「よぉ〜し!それじゃあ私についてきなさ〜い!私がこの村の住人に接触第一号だ〜!」


莉音はそう言いながら石階段をさっさと降りていった。私達は転ばないように慎重に降りていく。石階段も結構傷んでいて、所々欠けている部分もあった。


「莉音〜?そんなに急ぐと転んじゃうよ〜?」


「大丈夫大丈夫!余裕のよっちゃんだって!」
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