山窩村
「な、なんなんですか?あなた達は...」
あまりにも異常すぎるこの状況で、鉄平は震える声で仮面の人達に向かって話しかけた。
仮面の人達は何か言うわけでもなく沈黙していると、二人の仮面の大人が大きな巻物を手にして前へ出てきた。
私達の警戒心は最大になり、すぐにでも逃げ出す準備をした。だが、私だけ心構えは出来たものの肝心な足に力が入らなかった。ブルブルと震えて今にでも腰を落としそうになっていた。
心霊スポット巡りで私はその雰囲気を楽しんでいるものの、心霊現象が起きた時はいつもこうだった。私は人一倍小心者で、いざと言う時は逃げ出すことすら出来なかった。
それを察してくれたのか、鉄平は少し身を引いて私の手を握ってくれた。大きな手で温かい、自然と心が落ち着くが鉄平の手も汗で濡れていた。
幽霊とはまた違う身の危険、私達は初めて経験するこの雰囲気に完全に圧倒されていた。
すると、仮面の二人は勢いよくその巻物を拡げてみせた。私達はビクッと身体を跳ねて後退りをした。
だが、その巻物に書かれているものを見て、私達は一気に緊張感が薄れたのだった。
巻物には『ようこそおいでくださいました!!』と墨汁で記されていた。
「...え?」
「「ようこそー"山窩村"(やまわむら)へー」」