山窩村

仮面の人達は分かりやすい棒読みでそう言うと、全員が拍手をし始めた。一人一人が大きく手を叩き、まるで歓迎されているかのような感じで私達は動揺するしかなかった。

すると、少女と思われる長髪の仮面の子供は小走りで花束を持ってきて、私にそれを差し出してきた。



「どうぞーお姉ちゃーん。お祝いであげるー」


私は目を丸くし、差し出された花束をただ受け取った。花屋とかでは見かけたことも無い綺麗な花束は、私に警戒心を解いて欲しいと言わんばかりにとても良い香りを漂わせていた。


「....え?...これってどういうこと?」



「か、歓迎されてるのか?この感じは...」


守と莉音はポソりと呟きお互いに顔を見合わせた。

確かに第三者から見たらどうみたって歓迎されている。村全体で私達を迎え入れる様子。
だが、怪しすぎる仮面に心が微塵もこもってないと言っても過言ではない棒読み。

私達の警戒心を解きたいのかどうなのか全く持って検討がつかなかった。

すると、仮面の集団の中から腰の曲がった仮面の老人が私達の目の前まで来て深く頭を下げた。


「どうもー。ワシは八尾島と申しますー。この山窩村で村長をさして貰ってますー。以後お見知りおきをー。」


そう言うと八尾島はまた深くぺこりと頭を下げ、私達は何となくそれに合わせるようにお辞儀をした。
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