山窩村
「ここで話はなんですからー、この村一番の旅館で詳しい話をさせてもらいますー。ささ、どうぞーこちらへー。」
八尾島は鉄平の腕をつかんで半場強引に引っ張っていく。鉄平は抵抗していいのかついて行った方がいいのか分からず、困った表情を私達に向けながら連れていかれていく。
「ど、どうしよ守...凄い帰りたいんだけど....」
「俺も全く同意見だが、鉄平を置いていくわけにはいかないし...取り敢えずついて行ってみよう。」
私と莉音は守の意見に同意し、鉄平と八尾島に少し距離を空けてついていった。
本当なら私は鉄平の横で手を握ってあげるべきなんだろうが、正直ついて行くので精一杯だった。
さっきのこともあるし、旅館への道のりでは仮面の人達が拍手をしながら道を作っており、少し目線を前から避けると仮面の人と目が合ってしまう。
意識が吸い込まれるようなその仮面と目を合わせる度に、私の足腰は徐々に力を失っていった。
なんなのこの仮面の人達...多分この村の住人だろうけど、なんであんな不気味な仮面を...初見で臆病な私にとってはトラウマレベルなんだけど...
周りの仮面の人達にビクビクしながら歩いていると、目的地である旅館へ私達は着いた。