山窩村
「いいか?どんなに引き止められても無視するんだ。最悪アイツらが強硬手段に入る可能性もあるから、すぐに走れるようにして....うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
守は私達に話しながら部屋の扉を開けると、大声で叫びながら尻もちをついた。私達は血相を変えて、守の目線の先をビクビクしながら見た。
扉の目の前には八尾島がいた。不気味な仮面で私達をじっと見つめていた。
守はそんなに大声で叫んで怖がるタイプではないが、あの仮面がゼロ距離で目の前に現れたなら仕方がなかった。守は、足を震わしながら八尾島との距離を出来るだけとろうとした。
「すいませんねー。お声を掛けようとしようと思ったのですが...驚かせちゃいましたかー。どこかお怪我とかありませんでしたかー?」
八尾島は守に手を伸ばすと、守は小さい悲鳴を出しながら無理矢理にでも立って、更に距離をとった。
そんな守の様子を見て八尾島は首を傾げる程度の反応しか見せなかった。
「皆さんいらっしゃるようですねー。では、改めてようこそ山窩村へー。皆さんどうぞごゆっくりと休んでいって下さいねー。」
「あ、あの!」
鉄平は八尾島と目線が合わないように若干下の方を見ながら話しかける。両手を握り拳にし、拳から溢れる汗を見て勇気を振り絞っているのだと私は察した。