山窩村
莉音は守に好意を抱き既に告白済み。だが、守は何故かその告白には応じず、保留のような状態だった。
なんで付き合わないんだろ...確かに怠けてるけど、莉音は凄いいい子なのに....
そう思いながら私はチラッと横で黙々と宿題をしている男子に目を向けた。高身長で意外に筋肉質、彼から香る匂いが鼻を刺激し、私はどこか落ち着いた気分になった。
私はその匂いに身を委ねるように彼の肩へ頭を置いた。彼はノートから目線を私へ移し、目が合って少し心臓が高鳴った。
彼は安岡 鉄平。私の彼氏である。彼に好意を抱いたきっかけは自分でも分かっておらず、気が付いた時には意識し初め、莉音の協力の元半年前に告白して見事に実った。
他のクラスメイトも羨ましがる人気を持っていた鉄平は、私だけを見つめて不思議そうな顔をしていた。
「ん?どうした?」
「ううん別に...なんかこうしたくなって....」
「そっか。でもちゃんと宿題してるか?溜まってると莉音の二の舞だぞ?」
「大丈夫だって。ちゃんと計画通りにしてるから〜。」
鉄平の肩でうっとりしていると、莉音は頬をプクッと膨らせて守を見つめた。中々気がついて貰えず、莉音はイライラしているように鉛筆を机に叩き、守はウザそうに手を止めた。