山窩村
「元々は三人それぞれの物を買おうとしたんだけどさ、意見の交換してたら三人共同じ類だったんだ。それなら三人でいいやつ買った方がいいってなってさ。どうかな?」
私はそのネックレスを手に取り、ギュッと両手で握って胸元へ押し当てた。押し寄せてくる感動の波が溢れ、涙となって姿を現した。
「凄く...凄く嬉しい....皆、本当にありがとう...」
「喜んでもらってよかったよ。誕生日会もやろうって思ったんだけど、誕生日くらいは親と祝った方がいいって思ってな。誕生日会はまた今度やろう。」
鉄平は大きな手で私の頭を優しく撫でてくれた。その優しさに私は甘え、彼の胸元に顔を預けてポロポロと涙を零した。
「おめでとう薫!じゃあ〜今度の私の誕生日は期待しちゃうな〜。ね!守!」
「夏休みの宿題全部終わりきれたら考えてやるよ。出来なかったらお前の誕生日プレゼントはポテトチップスだ。」
「うわ〜酷いな〜。そんなんじゃ毎日誕生日じゃん〜。」
私達は笑った。この幸せなひと時を味わうかのように向かい合って笑った。
私は幸福感で胸がいっぱいだった。不安だった高校生活がこうも充実するなんて思いもしなかった。
「じゃあ誕生日会いつにすっか。薫は希望のある日ってあるか?」