星に願いを

毎日つぶやいていた呪文は、夜、空を見上げる度に口から勝手にこぼれる。


つぶやきながら、いつも思う。



「願いなんてかなわないのに」



呪文を言い終えると、私は下を向いて口を結ぶ。


何も無かったように。


願いはかけない。


だって、届かない願いなら、かける必要なんて無いんだから。



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