星に願いを


今でも、星を見ると呪文が口から流れる。


今は、前を向いて歩き出す。



まだ上は向けない。


でも下は見ない。



まだ願いはかけない。


かけられない。



信じていないのに、聞いてくれるわけないんだから。


「どうせ、願いなんて届かない」


その気持ちが消えない限り、願いは星まで届かない。


私の心のどこかには、まだその気持ちが残っている。


だから、まだかけられない。



でも、いつかまた、呪文の後に自然と願いが口からこぼれたら、

きっと願いは届くはず。


その日が来るまでもう少し、前を向いて歩いてみよう。
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