大人になんて、ならないで。






「いただきます」




テーブルに出来上がったピラフを置いて、真矢くんがそれを頬張る。



私も食べようと思ったけど、その前に真矢くんの制服をハンガーにかけておこうと立ち上がった。




「いいよ、後でやるし…」



「これくらいすぐだから、気にしないで」




私の家だから、真矢くんに色々させるのは申し訳ない。



私のわがままでうちにいてくれてるんだし…これくらいのことはやらないと。



シワにならないように伸ばしながらハンガーにかけていると、



真矢くんのスマホが、ブーっと短く振動した。



……電話ではなさそう。



真矢くんは全く気にすることなく、ご飯を食べて続けている。



でも、私が気になってしまって…チラッと真矢くんのスマホを見た。



そこには



『ミカ』って書かれていて。





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