大人になんて、ならないで。
……真矢くんと結婚する女の子は
毎日、こんな風に過ごすのかな…。
さっきみたいなこと、本当に子どもに言ったりするのかな。
いいパパになりそうだなぁ…。
……真矢くんに愛される人が…羨ましい。
「めぐちゃん」
「……ん?」
お皿を洗いながら、急に真矢くんが私の方に振り向いた。
「食器洗いは、俺の担当ね」
……うん?
さっき、聞いたけど?
「お言葉に甘えて、任せるよ」
真矢くんに笑いながらそう言って、ピラフを食べ進める。
「……今日の話じゃ、ないけど」
「え?なに?」
真矢くんが何かを呟いたのを聞き取れなくて、聞き返したら、
「なんでもないよ」と笑ってかわされた。