大人になんて、ならないで。
「……っ、くそ…。
勘弁してくれ…」
真矢くんが、プイ、と顔をそらした。
……あ
迷惑なこと、言っちゃったかな…。
でも、真矢くんが最初に言ったのに…。
やっぱり、からかって言っただけ?
「……やっぱり、一人で大丈夫」
「…大丈夫じゃないだろ。
ちゃんと寝てくれないと、俺が大丈夫じゃない」
「…でも、勘弁してくれって…」
「嫌なわけじゃなくて…。
……はぁ…どこまで我慢すりゃいいんだ…」
ふーっと息をはいて、
真矢くんが一旦、食器洗いの手を止めると、
私の後頭部に手をまわして、ぐいっと顔が近付いた。
「…っ、ま、真矢く…!」
「……今日は、我慢」
「……え?」
「昨日みたいに、
もう、無理矢理キスはしない」
まるで、自分に言い聞かせるように呟いて、
額同士がコツンとぶつかると、真矢くんが落ち着かせるように目を閉じた。