大人になんて、ならないで。
「真矢くん…あの、私…」
『婚約者』なんて。
たった一回の行いで、まだ高校生である真矢くんの未来を汚すわけにはいかない。
「真矢くん…あの…!
昨日のことは…!」
『忘れてください!』と言おうとした時に、
ガチャ、と部屋のドアが開く音がした。
「愛、起きてる?
あ、起きてるね。
真矢のおかげでスーツは汚れてなかったからさ、
汚れちゃったシャツだけ洗濯しとくね」
顔を覗かせたのは真優で、
それだけ言うと『んじゃごゆっくり♡』と意味深な笑みを浮かべてドアを閉めた。
……シャツが汚れた?