大人になんて、ならないで。



『めぐ』



たった2文字の言葉が、頭の中でこだまして。



ドッドッと心臓の音が激しくなる。




「めぐ……

………き…」



「……え?」



「……好きだ…」




そう言った後、真矢くんはまた目を閉じて眠ってしまった。



……今のは、寝ぼけていたのかな。



じゃなきゃ、



『好き』なんて…そんな…こと…。



もしくは、『めぐ』っていうのは、また別の女の子のことで…



その子に向けた言葉、とか。



……うん、そうだよ。きっとそう。



私のことは“めぐちゃん”で、その別の子が“めぐ”なんだ。



私に向けられた言葉じゃない。



だから……




ドキドキしないでよ、私の心臓。




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