大人になんて、ならないで。
──ブーッ、ブーッ
「!!」
真矢くんの寝顔を凝視していたら、真矢くんのスマホが振動して、パッと髪を撫でていた手を離した。
……電話?
マナーモードにしていたのか、着信音はなくバイブ音だけだったけど、
真矢くんはそれでも気付いたみたいで、スマホを手にとって、電話に出た。
「……もしもし…」
すっごく、眠そうな声…。
「……うん、いらない…
……姉ちゃんも、仕事頑張って…」
それだけ言って電話を切って、
真矢くんはまた目を閉じる。
電話…真優だったのかな。
いらないって言ったのは、お弁当のこと…?
また寝たと思って、思わず真矢くんの頰に触れると、
真矢くんがパチと目を覚ました。
「んー……めぐちゃん…?」