大人になんて、ならないで。
真矢くんが急に顔を隠して、フイッと私から視線を外して。
「……ありがと、めぐちゃん」
視線を逸らされたまま、そう言われた。
……やっぱり、私は“めぐちゃん”だよね。
「大事に食べます」
「……うん」
「だからさ……」
そこで真矢くんが席を立って、机に手をついて身を乗り出す。
ぐん、と私との距離が近付いて、私は思わず逃げるように体を反らした。
「え…ま、真矢くん…?」
「俺のこと、『嫌い』なんて言わないで」
真矢くんの手が、逃すまいと私の後頭部にまわって。
強引に引き寄せられたら…頰に柔らかいものが触れて、ちゅっとリップ音が響いた。