大人になんて、ならないで。
来てほしくないと思えば思うほど、その時は早く訪れて。
「経緯と報告」
「はい…」
食堂で、背筋をピンと伸ばしてお弁当を食べる真優の目の前で、私は小さく縮こまった。
「学校帰りの真矢が、急に愛の家に?」
「部長におぶられてるのを見てたみたいで…」
「部長におぶられてた!?
愛…そりゃやばいな…」
一旦箸を置いて、真優がはぁ、とため息をついて頭を抱えた。
「あたしが一昨日の夜、挑発しちゃったから…」
「…挑発?」
「まさか部長とそこまでお近付きになってるとは思わないじゃん」
お近付きっていうわけでもないけどな…。
部長はただ、業務に支障が出ないように心配してくれただけだ。