大人になんて、ならないで。
「真矢だ」
真優がスマホを見て呟いた言葉に、ドキッと心臓が反応する。
真矢くん、真優になんの用事だろう?
「……うん、わかった。
伝えとくー」
電話にでていた真優はそれだけ言うとすぐに電話を切った。
……今朝といい、ここの姉弟の電話、めちゃくちゃ短いな。
そんなことを思っていたら、真優が私の方を見た。
「真矢、今日帰り遅いかもって。
愛の家に行くから、家に帰っててってさ」
「あ、そうなんだ」
帰り、遅いんだ?
ちょっとだけ、緊張がおさまったような…
でも、なんだか少しチクチクする…。
……遅くなる理由って、なんだろう?