大人になんて、ならないで。
本気になってはいけない人
「愛、なんだか不機嫌」
リビングで、目覚まし代わりに紅茶を飲んでいると、
テーブルの向かいでコーヒーを飲んでいた真優が、頬杖をつきなから呟いた。
せっかくの休みだ。
親友の家に泊まってるんだ。
楽しい…はずなのに。
「真矢が合コン行っちゃったからって、
拗ねないでよ」
「ちが…!!
拗ねてないし!」
さっき、部屋でお友達と電話してた時は、行かないみたいなこと言ってたのに…
行くんじゃん。
私のこと散々からかっておいて…良いご身分ですこと。
「人のこと『婚約者』とか嘘ついといて…
そのくせ合コン行くって」
結局、そういう行為はなかったんだから
私のことを婚約者だなんて、
なんで、そんな嘘…。
「あは、婚約者ね。
その言葉も、だんだん現実味おびてきたなぁ。
あと1年で真矢も結婚できる歳だし」
「は?
現実味?」
「うん。
まだ先のことだと思ってたけど…早いものね〜」