大人になんて、ならないで。
「……すみません…」
「どうして謝るんですか?」
「せっかく食事に誘ってくださったのに…
部長を退屈させてしまって…」
「退屈なんてことはないですよ。
ただ、悩みがあるのかなって心配で…」
…悩んでるのかな、私。
私が一方的に終わらせた…。
私が悩む資格なんて、ないのにな。
「……俺にその悩み、相談したくないですか?」
「え?」
「抱えてること、
話したら、少しくらい楽になりませんか?」
眼鏡の奥の瞳が、本当に心配しているように揺れている。
……部長なら、真矢くんのことを知らないから…
少しくらい、相談してもいいかな…?