大人になんて、ならないで。
ファミレスに入ると、男が勝手にドリンクバーを2つ頼む。
『俺の奢りです』と笑われて、この人にも子ども扱いされてるのを感じて…不愉快だ。
「……水でいいです」
「もう頼んだから、気にせずに利用すればいい」
俺の、ガキっぽい反抗に焦ることもない。
俯いて、グッと唇を噛む。
悔しい…。
2人で席を立って、ドリンクバーで飲み物を選ぶ。
俺はサイダー。
男は…コーヒー。
そんなところでも、“大人”を見せつけられてる気がして、またイラつく。
席に戻ると、男はまず一口コーヒーを飲む。
「うん、ちょうどいい」
何が『ちょうどいい』のか。ミルクも砂糖も入れてないブラックコーヒーだぞ。
見せつけてるのか。
嫌な男だ。