大人になんて、ならないで。
「……それで、
話ってなんですか」
さっさとこの場からオサラバしたくて、早々に本題に入る。
カチャ、とカップを置く音がして、男がフッと笑った。
「そうだね。
こんな時間に高校生を連れ回すのは良くない。
早く話を終わらせて家に帰らせないとね」
「………」
この男は、どこまでも俺を不快にさせるのが得意なようだ。
『部長』のくせに…いや、『部長』だからなのか?この嫌味ったらしさは。
「わかってるとは思うけど、
安井さんのことだよ」
安井さん…めぐちゃんのことか。
この人の中ではまだ、『安井さん』なんだな。
それに少しだけ、ホッとする。
まだ俺の方が、めぐちゃんに近い…はず。