大人になんて、ならないで。
「キミは、安井さんの何かな?」
「……俺は、
彼女の……婚約者です」
めぐちゃんは、俺が大きくなったら結婚するって約束してくれた。
間違ったこと…言ってないよな?
「婚約者…ね。
子どもの口約束でかな?」
「……は?」
「契約書でもあるのかな?
見せてくれると納得できるのだけど」
余裕そうな顔で、またコーヒーを一口飲む。
「……契約書なんて、ないです」
「…本当に、ただの口約束だけで?」
「………」
呆れたようにはぁ、とため息をつかれて、顔を俺は俯かせた。
「ガキの遊びに、彼女を巻き込まないでほしいな」