大人になんて、ならないで。
カチャン!と少し乱暴にカップが置かれて、思わずビクッと肩を揺らした。
「キミの言う“婚約者”は、ただの束縛にすぎない」
「……」
「キミは彼女と結婚する未来を、考えたことがあるかな?」
「……あたり前だ!
ずっと、それだけを夢見てたんだから…!」
1つ歳をとるたびに
めぐちゃんに近付いた。もう少し…もう少しって…
そう考えるだけで、今の生活が楽しい。
めぐちゃんがいるから…俺は頑張れる。
誰かのものになるなんて、考えたこともないし、考えたくもない…。
「じゃあ少し質問を変えよう。
キミは彼女気持ちを、考えたことがあるかな?」
「……え…」
「キミより7年先を歩く彼女の気持ちを、
考えたことがあるかい?」