大人になんて、ならないで。
「今のアパートに住むってなった時は、中学卒業したばっかのマジのクソガキで。
あたしも真矢に会うの久しぶりだったし、とんだ面倒野郎押し付けられたって思ったわ。
手伝いとかしないし、
掃除とか全然しないし、あたしが家賃払ってるってのに自由しまくってさ、うざいのなんの。
やめろって言っても聞かなかったんだけどさ…
真矢が住み始めてから、初めて愛が家に泊まりに来た日から
アイツ、めちゃくちゃ変わったんだよね」
その時を思い出すように、真優は優しく微笑んだ。
「あたしの言うこときちんと聞くようになってさ。
掃除とか食器洗いとか、自分からやってくれるようになって。
その後しばらく、毎日言われたよ。『次はめぐちゃんいつ来るの?』って。
あたしその時初めて、真矢のことかわいいやつだなって思ったんだ」
「……そうなんだ」
「だから…愛がいなくなったら、また前の真矢に戻っちゃう。
ていうか、もう戻ってるのかな」