大人になんて、ならないで。
雨と涙*真矢side
「真矢」
「……なに」
「いつまで拗ねてるの?」
「……うざ…」
俺のことなんか気にすんじゃねぇよ。
気にかけられるたびに、泣きそうになる。
……優しくされたって、心にぽっかり空いた穴は埋まらない。
めぐちゃんじゃなきゃ…埋められない。
「真矢」
「……」
「買い物行ってきて」
「……なんで俺が」
「気分転換に。
家にいても、あたしがうざいだけよ?」
「……うざい自覚あんのかよ」
「あたしから見ても、今のアンタうざいから」
チッ、なんだよそれ。
出てけってことかよ。
「……わかったよ。
何買って来ればいいんだよ」
「はいメモ」
姉ちゃんに無理やりメモを持たされて、仕方なく家を出て行く。
おつかいかよ…姉ちゃんまで子ども扱いしやがって。
……て、子どもだな、俺は。