大人になんて、ならないで。
「気が気じゃなかったよ。
あたしも…真矢も」
「……真矢くん?」
「真矢がいなかったら…どうなってたか。
とにかく、体は平気?
何か異常があれば病院連れてくけど」
「ううん。どこも悪い感じしないよ」
「ならいいけど…
真矢にも大丈夫なこと、伝えてやってね」
『あったかいお茶いれるね』と言って真優が部屋を出ていく。
それと入れ替わるように、真優にそっくりな女性が部屋に入ってきた。
「愛ちゃん、体の具合はどうかしら?」
まじまじと顔を見て、それが真優のお母さんであることに気付いた。
……そっか、実家って言ってたもんね。
上半身を起こし、『大丈夫です』と告げると、ホッとしたように眉をさげて笑った。
「ごめんなさいね…。
事情を聞いて…うちの娘と息子のせいで…」