大人になんて、ならないで。



後ろで上着を脱いでいるんだろう。布の擦れる音がする。



何でもないことなのに



すごく、ドキドキしてしまう。



何も気にしていないフリで、紅茶の入ったティーカップを口につけると、



耳元でバチっと音がした。




「…わっ!」



「ははっ、静電気」




後ろを向くと、真矢くんが楽しそうに笑っていて。



その後、ボスっと音を立ててソファーに寝転がった。




「……めぐちゃん、疲れた。
癒して」



「つ、疲れたって…」




合コン行ってたくせに…。



でも、



からかわれて、怒っちゃったから、言えてなかった。




「真矢くん、
昨日は迷惑かけて、ごめんなさい…」




疲れてた原因って、たぶんそれだ。



私のせいだ。





< 23 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop