大人になんて、ならないで。
後ろで上着を脱いでいるんだろう。布の擦れる音がする。
何でもないことなのに
すごく、ドキドキしてしまう。
何も気にしていないフリで、紅茶の入ったティーカップを口につけると、
耳元でバチっと音がした。
「…わっ!」
「ははっ、静電気」
後ろを向くと、真矢くんが楽しそうに笑っていて。
その後、ボスっと音を立ててソファーに寝転がった。
「……めぐちゃん、疲れた。
癒して」
「つ、疲れたって…」
合コン行ってたくせに…。
でも、
からかわれて、怒っちゃったから、言えてなかった。
「真矢くん、
昨日は迷惑かけて、ごめんなさい…」
疲れてた原因って、たぶんそれだ。
私のせいだ。