大人になんて、ならないで。
「……ちょっと、外に散歩に行ってきます」
「え?
体は平気?」
「たくさん寝たので元気です」
そう言ったのに、
外は寒いからって、おばさんにコートやらマフラーやら…色々着せられた。
「心配だから早めに帰ってきてね」
「ありがとうございます。
気をつけます」
ガチャと玄関のドアを開ける。
玄関の隣には小さな花壇があって、そこにコスモスが咲いていた。
……コスモスか…。
ふと昔のことを思い出しそうになって、首を横に振った。
……散歩しよう。
家から数秒歩いたところにある公園に足を踏み入れる。
……昨日、私がいた場所。
昨日私がいたベンチに近付くと、生垣の向こうに人影が見える。
それが誰なのか、すぐにわかって…その人の前にまわりこんだ。