大人になんて、ならないで。
『真矢く…』
『けっこんしてください!』
目の前の、小さな真矢くんが。
顔を真っ赤にして、そう言った。
『……え…』
『…けっこんしてください!』
もう一回。
向けられた視線は、まっすぐ逸らされることがないまま、
白いコスモスが、わずかに揺れていた。
……真矢くんの手が震えてる。
この小さな手が、一生懸命伝えてくれてるんだ。
……かわいくて、
愛しいなって。
本当に、思ったんだよ。
だから、言ったんだよ。
『あはは、大きくなったらね』
本当に…
真矢くんが大きくなったら、
結婚したいって思ってたんだよ。