大人になんて、ならないで。
「……井さん、
安井さん」
「……あ、はい!」
「またボーッとしてる」
月曜日。仕事を終えた後。
部長に呼び出されて、今日はオシャレなレストラン…ではなく、
少し遠くにある喫茶店に連れて来られた。
今日の仕事中…実は朝から何度も注意されていて、
眉間にシワを寄せた部長を見て、とうとう本格的なお説教が始まるんだと思った。
「今日は、仕事が遅かった気がしますね」
熱々のコーヒーにミルクも砂糖も入れず、
ブラックのままそれを飲む部長。
その姿を見て、顔を俯かせた。
いつも優しい部長が今日は不機嫌そうに見えて…
……目を合わせられない…;