大人になんて、ならないで。
優しい手付きで、私の頭を撫でる。
「あの時みたいだね。
泣いてるめぐちゃんの頭を撫でて…」
私が、『そうだね』と微笑むと
あの時と同じように、真矢くんの視線が泳ぐ。
「あ〜…なんもねぇ…」
キョロキョロと辺りを見回している感じ、あの時のコスモスの代わりでも探しているのかな。
もちろん花なんて置いてなくて、
悩んだ顔を見せる真矢くん。
その真矢くんの頰に、ちゅ、とキスを落とす。
「……!、めぐちゃ…」
「……結婚してください」
じっと真矢くんを見つめる。
真矢くんの顔が、どんどん真っ赤に染まる。
「……約束、
もうなしになっちゃったかな…?」
私から破ったみたいなものだし…今さら都合いいかな…。