大人になんて、ならないで。
ダメかな、って眉を下げたら
真矢くんの手が、私の前髪をわけた。
「……まだ、出来ないから」
「え?」
「結婚…まだ、出来ないから…。
……そうやって8年も、待ってもらうばっかりで…今まで、待ってもらうことしか出来ないって思ってたけど…
なんで思いつかなかったんだろう」
「……?」
真矢くんが私の頰に手を添えて、
コツンと額をあわせた。
「結婚を前提に…
俺と付き合ってください」
まだ結婚できる歳じゃないけど、と困ったように笑う真矢くんに
ぎゅうっと抱きついた。
「……よろしくお願いします!」
えへへ、と笑った私に、
真矢くんが優しいキスを落とした。