大人になんて、ならないで。
*
「どうですか?ここ」
「……最悪の気分かな」
「そうですか。
あたしはこの喫茶店お気に入りなんですけど」
「お昼、遠野さんがここを勧めてきたのって…そういうことだったんですね」
「ふふ。まぁ。
部長ともあろう方が、まさかウチの弟に負けるなんて…悔しいですか?」
「遠野さんって意地悪ですね」
「よく言われます。
でも、これでも愛の親友なんですよ」
「安井さんは変わってるのかな」
「そうかもしれませんね。
部長じゃなくて、弟のこと好きなんだから」
「じゃあ最初から…俺は勝ち目なかったのかもしれませんね」
「ふっ…そうでしょうね。
アイツ…いい男ですから」
*