大人になんて、ならないで。
「まーでも、
おめでとう」
「…あ、ありがとう」
「真矢もここ1週間で、機嫌良すぎて気持ち悪いくらい」
ビールのジョッキを空にした真優が、
よし!と言って笑った。
「じゃ、帰ろ!」
「え?
まだ一杯しか飲んでないじゃん」
「もー!気ぃ遣ってんじゃん。
また泊まりに来るんでしょ?
未来の旦那に早く会いたくないの?」
「……会いたい…です…」
“未来の旦那”…か。
今は“彼氏”だけど、なんだかくすぐったいな…。
「どうせ真矢も待ってるし」
「え?」
「店の外で」
真優にお金を払うと、真優がまとめて会計してくれる。
その間に店の外にチラ、と目を向けると、
茶髪のくせっ毛が目に入った。
……!
真矢くん…?