大人になんて、ならないで。
真優と一緒にお店を出ると、やっぱり茶色のくせっ毛は真矢くんだったみたいで。
私を見つけるなり、真矢くんが嬉しそうに笑った。
「めぐちゃん」
「真矢くん」
「めぐちゃん」
何度も呼びたいのか、嬉しそうに私の名前を連呼する。
それを見た真優が、真矢くんの足を蹴った。
「いたぁ!!!」
「デレデレすんな気持ち悪い」
「いいだろ!
浮かれるだろ!高校生なんだから」
「誇らしげに言うなガキ」
もう一回真矢くんの足を蹴って、痛がる真矢くんを放って真優が歩き出した。
「真矢くん、大丈夫?」
「……大丈夫」
「歩ける?」
「手…繋いでくれたら歩ける」