大人になんて、ならないで。
介護みたいな感覚だろう。うん。そうだ。そうなんだな。
真矢くんにとっては、なんでもないこと。
それなのに、焦ってる私は、めちゃくちゃ子どもっぽい。
もっと、余裕をもたないと。
そんなことを考えていたら、
突然、ふわっと体が浮いた。
「…え…」
床に座っていたはずなのに、真矢くんに軽々と持ち上げられ、
ソファーに座らされた。
「ま、真矢くん…」
「おばさん?
誰が?」
「私が…」
「バカ」
真矢くんが不機嫌な顔をして、
そのままぐっと私に顔を近付ける。
それにビックリして、逃げようとしたら
ドサっとソファーに倒れてしまった。
「あ…」
反射的に閉じてしまっていた目を開けると、
私の顔の横に手をついて、
不機嫌な顔のまま、真矢くんが上から私を見下ろしていた。