大人になんて、ならないで。
「……ま、やくん…?」
「おばさんなら、
高校生のガキに嘔吐物処理させんな」
「う゛……」
ごもっともです…。
『ごめんね』と謝ろうとすると、
真矢くんの指が、スーッと私の鎖骨を撫でた。
「でも、
俺、おばさんの介抱なんてめんどくさいことしないよ」
「……えっ」
「おばさん相手に、
こんな欲情するかよ」
フッと妖艶に笑う真矢くんからは、やっぱり余裕がうかがえて。
別に欲情なんてしてないのに、きっと私に失礼のないようにと、お世辞を言ってくれたんだろう。
高校生のくせに。
真矢くんと同じ学校の女の子なんて、絶対黙ってないでしょ。
真優の言う通り、イイ男だと思う。
女の心を掴むけど、きっと、絶対本気にならない人。