大人になんて、ならないで。
一度ハマってしまったら、
溺れて、二度と出てこれなくなってしまいそうな。
真矢くんは、そんな人。
「……嘘でも嬉しいよ」
「嘘じゃないよ。
あ、おばさんとは思ってないから嘘か」
「嘘じゃん」
「おばさんって言ったのは嘘だけど、
欲情したのはホント」
「え…」
そう言った真矢くんの指が、そっと頬を撫でて。
少しずつ顔が近付いてきて、鼻先同士がぶつかった。
「めぐちゃん」
「……!」
「……」
名前を呼んだくせに、至近距離のまま、何も言わず、全然動かない真矢くん。
真矢くんの長い睫毛が、瞬きしたら触れてしまいそう…。
見られてることに恥ずかしくなってしまって、ぎゅっと目を閉じた時。
「ふぃー!さっぱりしたー!」
浴室のドアが開いて、真優の声が聞こえて…カッと目を開いた。