大人になんて、ならないで。
もともとここは、真優が社会人になった時から一人暮らししてる家だったんだけど
真矢くんが通ってる高校に近いこともあって、高校入学と同時に真矢くんもここに住み始めたらしい。
最初は真優もすっごく嫌がってたけど、
どうやら姉弟間でしてたその“約束”っていうのがあるから、真矢くんが住むこともOKしたとかなんとか…。
その“約束”の内容は、私も知らなかったけど。
「何もしてないだろ」
「パンツ下ろしかけてるくせに」
「それは姉ちゃんがやったんだろうが!!」
真矢くんはクソッ!と言ってソファーから立ち上がると、
上着を持って玄関の方へ歩いていった。
「真矢、どこ行くの?」
「……コンビニ!
……ついでに頭冷やしてくる」
どうやら相当機嫌を損ねてしまったようで…
こちらを見ることなく、真矢くんは外へ出て行ってしまった。