大人になんて、ならないで。
「もー!
シャワー浴びてくるから!」
真優の手から逃げるように急いで浴室へ。
シャワーを浴びるために服を脱ごうとして、裾を引っ張る。
……これ、真矢くんのTシャツ…。
『欲情したのはホント』
さっきの真矢くんの、艶やかな笑みを思い出して、顔が熱をもった。
いや…あんなの、嘘だ。
嘘じゃないにしても、真矢くんは高校生。そういうお年頃だ。
女の人ならみんなそう思うって意味だ。絶対そうだ。
彼の言動にいちいちドキドキしてしまってたら、心臓がいくつあっても足りない。
真矢くんが本気で言ってることなんて、あるわけない。
『けっこんしてください!』
あれだって、ただ覚えたことを言いたいだけの、子どもの言葉なんだから。
真矢くんはもう絶対忘れてる。
彼が私に言う甘い言葉なんて、
きっと、全部、冗談だ。