大人になんて、ならないで。
* * *
「あ、安井さん」
「はいっ」
「ごめん、今日残業出来る?」
お昼休みに、もらったお菓子のお礼をと思って缶コーヒーを持って課長席に行くと
佐藤課長に残業を言い渡されてしまった。
「一応大丈夫ですが…
何かありました?」
「今日、瀬尾くんが急遽休んじゃってて。
瀬尾くんの分をやってもらえないかと、班のみんなに声をかけてるから…
少しでもいいから、協力してくれないかい?」
瀬尾さんは私と仕事内容も同じだし…
他の人たちも協力してくれるなら、そこまで遅くはならないだろう。
仕事を明日にまわすと、瀬尾さんも他のみんなも大変だし…。
「わかりました。
瀬尾さんの分、進めておきますね」
今日は残業決定だ。